DAシンポジウム 2020
特別企画
招待講演(9月7日(月))
AIチップ設計拠点 =新しいパラダイムの構築に向けて=
内山 邦男 様(産業技術総合研究所)
2020 年代にMoore’s Lawが終わると予測され、それに同期してアーキテクチャやLSI設計における新しいパラダイムが模索されている。技術の抜本的見直しを試みるIEEEのRebooting Computingイニシアティブ、自らAIチップを開発し自社のサービス基盤を強化するGAFAの動き、LSI設計のオープン化を支援するDARPAのIDEA/POSHプロジェクト、オープンアーキテクチャのRISC-Vなど、様々な活動が始まっている。我が国でも2018年にAIチップ・次世代コンピューティングに関連した施策が打ち出された。今回の講演では、これらの動向を振り返りながら、中小・ベンチ ャー企業のAIチップ開発を支援するためにNEDO事業として開始されたAIチップ設計拠点の活動について紹介する。
招待講演(9月8日(火))
イジングマシンの基礎理論から応用探索まで:現状と将来展望
田中 宗 先生(慶應義塾大学)
組合せ最適化問題の高速高精度処理を目指したイジングマシンと呼ばれる新しいタイプの計算技術が近年注目を集めている。イジングマシン分野は、情報科学・情報工学と物理学の学際領域的な位置づけとして学術的な研究が進展しているだけでなく、国内外の様々な企業や大学、研究所によってハードウェア開発、ソフトウェア開発、アプリケーション探索が活発に進められており、産業応用を見据えた応用研究も進んでいる研究領域である。本講演では、イジングマシンの基礎理論からハードウェア開発、ソフトウェア開発状況、アプリケーション探索について網羅的に紹介し、イジングマシンの現状と今後の展望について共有する。
招待講演(9月9日(水))
3Dセンシング×AIの最先端 ―今何ができて、何ができないのか―
池畑 諭 様(国立情報学研究所(NII))
ここ数年の間,カメラやデプスセンサを用いてシーンの3次元情報を復元する3Dセンシングが再注目されている.その要因として,1次元の言語や音声,2次元画像の認識・理解に留まっていた深層学習が近年ようやく3次元へと拡張し,AR・VR,自動運転等への様々な応用が期待されていることが挙げられる.本講演では,コンピュータビジョンにおける3Dセンシングの研究動向を俯瞰し,深層学習の出現によって技術や応用がどのように変化していったのかについて紹介する.また,本講演を通じてソフト・ハードの両側面からこれからの3Dセンシングに求められる技術について共に議論していきたい.
特別講演(9月9日(水))
量子ソフトウエア研究会の紹介とSLDM研究会との連携の期待
山下 茂 先生(立命館大学 情報理工学部)
現在注目されている量子コンピュータを含む量子情報技術は、これまで物理学の一分野として進展してきたが、実用化のためには、情報、数理、電気工学、等、広い分野の研究者が結集すべきことが求められており、特にソフトウェアとアーキテクチャの研究開発の充実が急務であると言われている。量子ソフトウェア研究会は、こうした時代の要請に応えるべく設立されたもので、情報処理分野、特にコンピュータサイエンス領域の研究者および実務者の、量子ソフトウェア分野への参画を喚起し、量子ソフトウェアの研究開発の推進を目指している。この研究会の活動を紹介し、量子情報技術の発展ために、SLDM分野の研究者と協働できる可能性のある研究テーマについて議論する。