DAシンポジウム 2017
特別企画
招待講演(8月30日(水)午後)
サービスロボットのための知的処理と組込指向ニューラルネットワーク
田向 権 先生 (九州工業大学)
人間の生活空間で、人と協調して働くサービスロボットの研究開発に注目が集まっている。サービスロボットの実現には、人との円滑な意思疎通や、様々な環境下での認知、判断、行動を実現する仕組みが必要である。本講演では、サービスロボットの国際競技会RoboCup@Homeリーグ向けに開発してきたロボットを題材に、その知的処理の実現手法やシステム設計について紹介する。さらに、上記ロボットの知的処理部のひとつとして深層学習に焦点を当てると共に、ロボットやエッジ機器への組込みを目指した組込指向ニューラルネットワークの動向を紹介する。
招待講演(8月30日(水)午後)
IoT設備のワイヤレスセンサを確実につなぐ技術
~ラインダウンを未然に防ぐ、加速度センサーの活用~
小林 純一 様 (アナログ・デバイセズ(株)ダスト・エバンジェリスト)
生産ラインの予期せぬトラブルを未然に防ぐために、IoTを活用した設備の予兆保全に対するニーズが高まっています。小型で高性能、廉価な振動センサーを工場内の装置に取り付けて、継続的に振動情報を収集するシステムを実現する動きが活発化してきました。本講演では振動センサーとしてAEセンサーとMEMSセンサーを取り上げ、それらをケーブルを使わずに確実につなぐ技術の最新動向について解説します。
  1.予兆保全における振動解析の位置づけ
  2.AEセンサーとMEMSセンサーの特徴と使い分け
  3.エッジでの解釈とサーバーでの解析の役割分担
  4.工場内で多数のセンサーを確実につなぐ技術
  5.運用まで含めた、バランスの良いシステムの構築方法
特別セッション(8月31日(木)午前)
リコンフィギャラブルシステム~デバイス・設計環境・応用事例の最前線~
井口 寧 先生 (北陸先端科学技術大学院大学)(オーガナイザ)
谷川 一哉 先生 (広島市立大学)
柴田 裕一郎 先生 (長崎大学)
リコンフィギャラブルシステム分野で活躍する3名の研究者による以下の講演を通して、最新の研究成果を紹介する。また、再構成可能デバイスの将来について、会場から質問をいただきながら討論を行う。
再構成可能デバイスMPLD/SePLDにおける設計アルゴリズムについて
谷川 一哉 先生 (広島市立大学)
本研究室で開発している再構成可能デバイスMPLD/SePLD用のテクノロジマッピング,配置アルゴリズムについて紹介する.再構成可能デバイスMPLD/SePLDではプログラム可能な配線資源を持たず,論理ブロック間を直接接続したアレイ構造を持つ.そのため,配置アルゴリズムでは単純に論理ブロックに論理セルを配置するだけでなく,論理ブロックを配線として使用する事を考慮した配置が必要になる.また,再構成可能デバイスSePLDの論理ブロックでは,3入力までの任意の論理関数を実現できるが,4~6入力までの論理関数は一部の論理関数のみが実現できるという制約がある.そのため,SePLD 用のテクノロジマッピングでは,その制約を考慮したマッピングアルゴリズムが必要となる.
高位合成を用いた3Dステンシル計算のFPGAアクセラレーション –Maxelerシステムにおけるケーススタディ–
柴田 裕一郎 先生 (長崎大学)
ステンシル計算は、様々な科学技術シミュレーションに頻用される計算パターンのひとつであり、FPGA上に問題に応じた深いパイプライン構造のハードウェアを構成し、ストリーム処理化することにより高い効果をあげることができる。しかし、そのようなハードウェアをHDL記述で設計するのは非効率であり、高位合成技術への関心が高まっている。一方で、高位合成によるアプリケーション開発には、従来のソフトウエア開発とは異なる最適化手法も必要となる。本講演ではMaxeler Technologies社が提供するJavaベースの高位合成系を例に、3Dステンシル計算の実装例を示し、その効果と課題を報告する。
FPGAによる電子指紋検索の高速化事例
井口 寧 先生 (北陸先端科学技術大学院大学)
FPGAによる処理の高速化事例として音楽電子指紋検索のFPGA実装の例を紹介する.FPGAに適する利用分野として,積極的に再構成可能な特性を利用するケース,需要が少量である場合に設計コストの低減を目的とするケース,および利用する演算がや処理構造が単純であり,専用回路とすることによって大きな性能向上が図れる場合などがある.本報告では,音楽電子指紋の検索にFPGAを適用した事例を紹介する.音楽電子指紋は加減算など単純な演算で指紋を計算でき,検索ではハミング距離が最短な指紋を探索する動作となる.複雑な処理機構は不要であり,問題の特性を利用しながらいかに処理を高速化するかがポイントとなる.幾つかの高速化のアプローチを踏まえつつ,取り組みを紹介する.
招待講演(8月31日(木)午後)
データの価値判断に基づくインテリジェントなストレージ技術
竹内 健 先生 (中央大学)
本講演ではディープラーニングを用いた画像認識やデータ圧縮、忘れられる権利などのプライバシー保護といった応用を例に、データの価値判断に基づくインテリジェントなストレージ技術を紹介する。
招待講演(9月1日(金)午後)
ストカスティックコンピューティングの研究動向
市原 英行 先生 (広島市立大学)
確率を用いて演算を行うストカスティックコンピューティングは、その耐故障性や低面積・低電力性から現在再注目されており、画像処理や機械学習などでの利用が期待されている。本講演ではストカスティックコンピューティングの基礎から最近の研究動向までを紹介することで、その魅力と研究課題を説明する。